一時期は邪魔だとさえ感じていた(ごめんなさいTT)ダッチオーブンを、20年ぶりに押入れの奥から引っ張り出してきました。
ひどく錆びているわけど、ところどころオレンジ色に変色し、とても使えたものではありません。
当然のことながら、シーズニングをし直す必要があります。
ここでは、我が家のダッジオーブンを使ってシーズニングの仕方を記録しています。
普段つかいのスキレットのお手入れ方法なども紹介していますので、よかったら参考にしてみてください。
なぜシーズニングが必要なのか?
シーズニングって何?
シーズニングという言葉の意味を調べると、このように出てきます。
「seasoning」とは・・・
引用:Weblio辞書
「seasoning」は、食事の風味を引き立てるために使用されるものを指す英語の単語である。スパイス、ハーブ、塩、醤油など、料理に深みや特色を加えるために用いられるものすべてがこの範疇に含まれる。例えば、カレーにはターメリックやクミンなどのスパイスが「seasoning」として用いられ、日本料理には醤油や味噌が「seasoning」として活用される。
日本では『シーズニングソルト』という名前で売られている商品を見ます。
シーズニングソルトは、ガーリック、ブラックペッパー、タイム、オニオン、ナツメグ、など色々なハーブが調合された調味料塩だ。これさえあればお肉や魚料理、カルパッチョやサラダが美味しくなると、愛用者も多いのではないでしょうか。
しかし、今回知りたいシーズニングはこれとは違います。
今回必要なシーズニングは、鋳鉄製のダッチオーブンやスキレットを油でコーティングする「油ならし」という作業のことを指します。
鋳鉄には表面に無数の微小孔があります。シーズニングによってその穴を油で埋め表面に被膜を作り、表面を滑らかにすることでようやく調理器具として使える状態となります。
とはいえこの被膜の正体、単に油が固まってコーティングされているのではありません。油の主成分である脂肪酸の重合体(結合して鎖状や網状になること)で、これがシーズニングをする目的です。
少々面倒に感じますが、決して難しいものではありません。
このシーズニングさえできてしまえば、錆びを防ぐだけではなく、焦げ付きにくく調理が格段に楽になります。
ダッチオーブンやスキレットを使う料理は、味も見た目も大満足の美味しい調理ができます。
シーズニングの必要性とは?
新品のダッチオーブンやスキレットには、錆びを防止する特殊なワックス加工がされています。
ワックスは毒ではありませんが、そのまま調理をするとワックスの臭いが料理が移ってしまいます。
新品の場合、シーズニングはこのワックスを洗い落とすところから始めます。
今回の我が家のように、しばらく使っていなかったためにすっかりコーティングが剥がれてしまっている場合や、鍋を洗う際に強くこするなどシーズニングでできた膜が剥がれてしまった場合などは、シーズニングをやり直す必要があります。
シーズニングがうまくできていないダッチオーブンやスキレットは、錆などの見た目はもちろんですが、鉄臭さがのキツイのですぐわかります。
また、定期的にシーズニングを行うことで、良い状態を保ち、長く使うことができます。
最近ではアルマイト加工されていてシーズニング不要の製品も売られています。その場合は購入してすぐ調理を始めることができます。
シーズニングが必要な製品かどうかは購入時にチェックしましょう。
20年ぶりに蘇る!ダッチオーブンのシーズニング方法
我が家の押し入れに20年間静かに眠っていたダッチオーブンがこちら。
新品の商品はワックスが塗られていて黒色をしているが、これは油がほぼ剥がれ落ち、ところどころ錆びが出ている状態です。(今思えば、20年前のシーズニングが甘かったのだろうと思う)
匂いも鉄の錆び臭さがキツイです。
こうなってしまったら、シーズニングをいちからやり直すしかありません。
①汚れを落とす
まず錆びや汚れを落とします。(新品の場合は購入時に塗られているワックスを落とす)
研磨剤などが入っていないマイルドな洗剤を使い、スポンジやたわしを使って錆びや汚れ、新品の場合はワックスを丁寧に洗い流します。
我が家では亀の子たわしを愛用しています。(最近LODGEの専用たわしを購入しました。比較的汚れが少ない場合はこの専用たわしを使っています。亀の子たわしよりも柔らかいです)
しっかりすすぎ、タオルで軽く拭き上げたら火にかけて乾かします。
スキレットカバー(蓋)も同様に洗います。
②油を薄く塗る
洗ったダッチオーブンやスキレットを中火にかけ、じっくり熱しながら水分を完全に蒸発させます。
煙が出るまでしっかり温めましょう。。
3~5分空焼きをしたら火を止め、鍋の熱が少し落ち着いたら、食用油をまんべんなく塗ります。
空焼きしてすぐ油を入れると急速に油が固まり、デコボコとしたムラのあるコーティングになってしまいます。必ず一旦火を止めて、熱が落ち着くまで待ちましょう。
また、油は塗り過ぎないようにすること、そしてキッチンペーパーなどを使い油を均等に塗るのもポイントです。
油にムラがあると、そのまま固まってしまいます。
鍋の外側や蓋の裏面や持ち手部分も同じように油を塗りましょう。内側に比べてさらに薄塗りで大丈夫です。この時、くれぐれも火傷をしないように注意しましょう!
③火にかけて油を染み込ませる
油を塗ったダッチオーブンを再び火にかけて加熱します。
この時の温度は150℃~200℃が目安といわれています。鍋の中に手をかざし、熱さが5~7秒ほど我慢できる程度がこの温度です。ガスコンロでは中火程度です。
温度は高すぎると油が染み込まずにひび割れて剥げ落ちてしまうし、低過ぎても油が染み込みません。
(かつて温度を上げ過ぎて、鍋の底面のシーズニングが完全に剥がれ落ちてしまった、という経験がありますTT)
熱くなってくると塗った油が焼けて煙が出てきます。この温度を保ったまま10分ほど焼き、火を止めて自然に冷まします。
④【②~③の工程】を3回繰り返す
鍋の熱がある程度冷めたら、②から③の工程を3回繰り返します。
⑤自然に冷ましたら完成!
普段使いする場合はこれで完了!
キャンプの時だけしか使わない場合や、長期間使用しないときは、最後にもう一度薄く油を塗って保管しましょう。
シーズニングのポイント
どんな油がおすすめ?
「酸化しにくい」という観点からオリーブオイルがよいといわれていますが、オリーブオイルは不乾性油なので固化するのに時間がかかり、香りも強めです。
シーズニングには空気に触れて固まる性質を生かした乾性油が適しているということで、乾性油の代表格、亜麻仁油やえごま油はどうかというと、なかなか高価で香りも強めです。また、熱に弱くせっかくのコーティングが剥がれてしまう可能性もあります。
そして、最近注目されているのがグレープシードオイルです。
乾性油なので乾燥性があり、なおかつ固化した膜が熱に強いという、シーズニングに適した特徴を兼ね備えたオイルです。
ただし、グレープシードオイルは酸化しやすいので「1か月」を目途に使いきるのがいいようです。手入れだけに購入するのはもったいないのでぜひ普段の料理にも加えたいところ。加熱調理よりは、生のままサラダや酢の物などにかけて食べるのがおすすめです。(過剰摂取に注意!)
グレープシードオイルの懸念点は、酸化しやすく、高温での調理によって過酸化脂質の生成が促進されてしまうこと。これを考えると、シーズニングの際に高温で熱したグレープシードオイルは、完全に焼き切ることが重要だと思います。調理油としてもダッチオーブンやスキレットは高温になるので不向きですね。
総合的に私がおすすめしたいのは、菜種油(キャノーラ油)、米油などのサラダ油です。不乾性油よりも固化しやすく熱しても酸化しにくい、なにより手軽に比較的安価で手に入るというのも嬉しいポイントですね。
基本的に食用油であればシーズニングは可能なようです。
どの油を選ぶ場合でも、必ずその油の発煙点まで鍋を加熱させて、重合と呼ばれる化学反応を起こすことが必要です。油によって煙点や固化されるまでの時間が違うので、多少調整する必要があるということです。
あまり難しく考えず、煙が出る温度をキープ、煙が出なくなるまで10分ほど熱して自然に冷まし、油がベトついていたら再度火にかけて油を焼き切る・・・ポイントさえおさえておけば大丈夫です。
クズ野菜を炒めるべき?
臭いの気になる方はくず野菜を炒める方法もありますが、そもそも鉄臭さが残っている場合はシーズニングがうまくいっていないのかも・・・。しっかりとシーズニングができているダッチオーブンやスキレットは、まったくの無臭だからです。
以前まで私もくず野菜をせっせと炒めていましたが、シーズニングが正しくできるようになってからはくず野菜を炒める必要を感じなくなりました^^。
シーズニング後の保管
長期保管の注意
長期間使用しない場合や、キャンプやアウトドアでしか使わない場合は、新聞紙に包んで通気性の良い場所に保管します。
鉄同士がこすれて錆びるのを防ぐため、スキレットカバー(蓋)は別に包みましょう。
新聞紙で包むのは、錆びの原因である湿気を吸収させる目的のほかに、塗った油が収納場所やほかの道具につくことを防ぐ効果もあります。
また、収納時に気を付けたいのはスキレットの持ち手の部分。
スキレットの持ち手は非常に細いので、上に重い物を乗せると折れてしまう可能性があるので注意しましょう
鋳鉄鍋の特徴
鋳物鍋は鋼板鍋に比べて熱がゆっくりと伝わり、じっくりと加熱することができる。高い保温性・密閉性で素材のうまみを最大限に生かした調理ができるのが特徴です。
ズシリと重量はあるが、落とせばヒビが入ったり割れたりする可能性がある。また、熱い状態から急激に冷やしたりすれば、こちらも割れる可能性があるので注意しよう。
日常使いする場合も、ダッチオーブンの中に丸めた新聞紙を入れて湿気を防ぎましょう。さらに、本体と蓋の間に割りばしを挟んでおけば、空間ができて通気がよくなるのでおすすめです。
普段の調理とお手入れのポイント
ダッチオーブンやスキレットの普段の調理とお手入れのポイントを紹介します。
ダッチオーブンやスキレットは熱してから
調理の際には、油を入れる前にしっかりとダッチオーブンやスキレットを熱しておくのがポイント。その後弱火にして油を回し入れ全体に油をなじませてから食材を投入しましょう。
長時間の料理保存はNG!
ダッチオーブンに調理し終わった料理を長時間入れておくのはNG!サビの原因になります。
料理が出来上がったら別の器に移すか、弱火で保温状態を保っておくのがベスト。
食事が済んだら余った料理は別容器に移し、粗熱が取れていたらなるべく早く汚れを落としましょう。
汚れた鍋はお湯洗い、熱々鍋に冷水はNG!
使い終わったダッチオーブンやスキレットは、お湯を入れて煮立たせると汚れや焦げが剥がれやすい。
注意しなくてはいけないのは、熱々になった鉄鍋に冷水を注ぐのはNG。ひび割れの原因になってしまいます。熱い鍋は別に沸かしたお湯を入れるか、いったん粗熱をとってから水を入れて再度加熱しましょう。
洗剤OK!たわしOK!
シーズニングがきちんとできていると、洗剤を使ったくらいでは被膜が剥がれることはありません。たわしも力任せに強くこすらなければ大丈夫。
洗剤を使わなければ落ちない油汚れは、衛生的にも取り除いておきたいものです。
もちろん油汚れがひどくないときはお湯洗浄だけでOK。
金たわしはコーティングに傷がつきそうで我が家では使っていません(大丈夫かもしれませんが^^;)。たいていスポンジや少し頑固なものでも亀の子たわしで十分落とせるので、今のところ金たわしの出番はありません。
しっかりと乾燥させる
洗ったダッチオーブン・スキレットは、余分な水分を拭き取ったら火にかけて乾燥させます。鍋の淵や持ち手のところまで十分乾燥させましょう。
通常はここまでで終了。
風通しの良いところで保管します。
油を塗り加熱する
汚れがひどく、洗剤とたわしを使ってごしごしこすったようなときや、そうでなくても使い始めは2~3回に一度はシーズニングの時と同様、油を塗って火にかけ焼き切り、自然に冷まして保管しています。
使い込んでいくと、この作業が徐々になくなっていきます。
ちなみに、被膜が剥がれてしまったときは、シーズニングをやり直します。空焼きして固化した被膜を炭化させて取り除いてからシーズニング①から④を再度行います。
くれぐれも火傷しないように注意しましょう!
まとめ
ダッジオーブンやスキレットに手入れは欠かせません。正直なところ(疲れているときなど特に^^;)面倒だと感じることもあります。
ですが、一度しっかりとしたシーズニングができてしまえば、焼き焦げや汚れもするりと落ちて毎回の手入れもさほど大変ではありません。
何より調理器具を自分で育てる楽しみはこの上なく、使い込むほどに扱いやすく美味しい料理が楽にできるようになります。
カウボーイとして働いた経験を持つ菊池仁志氏の著書の一説にありました。
「女房とトラックは貸せても、俺のブラック・ポットは貸せない」・・・そんなカウボーイもいるらしいです^^。自分で育てたブラック・ポットは親友にも貸せないほど大切な道具だということです。
便利な道具が溢れている現代だからこそ、多少不便でもとことん使いこなし、愛着持って一生涯共にできる道具と暮らす生活は憧れでもあります。
もしかしたらそれが叶うのではないだろうかと、育ち始めたダッチオーブンやスキレットたちを眺めながら思いはじめています。
あとは、ばあちゃんになっても重い鍋を持ち続けられるよう、筋力はつけておこうと思う次第です^^。
「スキレット」と「鉄フライパン」の使い分けはこちらの記事へ
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