この記事は、長野県下伊那郡天龍村で作られている「ていざなす」を使った『クルミ味噌田楽』のレシピを紹介している。
「ていざなす」との出会い
信州の夏は新緑がとても美しい。
関東と変わらない昼間の暑さはさておき、この季節の山々の景色や田舎の風景を眺めながらのドライブは最高である。
今回の滞在では、約20年ぶりに信州飯田の名勝、天竜峡を訪れてみることにした。
天竜峡は天竜川の浸食によってつくられた南北2㎞にわたる渓谷で、削られた岩肌とアカマツやカエデなどの木々、ゆったりと流れる天竜川が織りなす自然美は、まさしく水墨画の世界だ。
渓谷沿い遊歩道をゆっくり散歩しながら、久しぶりに訪れた名勝を堪能した。相変わらず美しかった。
その帰りに立ち寄った農産物直売所で購入したのが、今回の食材「ていざなす」だ。
ていざなすは、長野県下伊那郡天龍村で作られる米なす系の大きななすで、全国はもちろん、地元飯田市の市場でもほとんど目にすることがない。
母から話は聞いていた。母は数年前、JR飯田線平岡駅に併設されている食堂で「ていざなす定食」なるものを食べたそうだ。縦半分に切られ肉味噌が乗せられたナスが一枚、皿にドンと乗せられてきて驚いたのだとか。とにかくデカい!なのに柔らかくて甘くて美味しいと絶賛していた。
いつかは食べてみたいと思っていた「ていざなす」に、思いがけず出会うことができたのだから迷わず購入した。
直売所でもオススメの食べ方として紹介されていた、やはり焼いて食べるのが良さそうだ。
今回は、これまた信州でも昔から食べられている五平餅に塗られるクルミ味噌を使い田楽にしてみることにした。
『ていざなすのクルミ味噌田楽』レシピ♪
使った道具
スキレット(10 1/4インチ・約26㎝)
材料(2人分)
- ていざなす 1本
- くるみ味噌 お好みで
- 油
- いりごま 適量
【クルミ味噌の材料】(作りやすい分量)
・くるみ 70g
・砂糖 50g
・合わせみそ 大さじ2
・白いりごま 大さじ2
・酒 大さじ1
・みりん 大さじ1
・しょうゆ 小さじ1
作り方
- 「ていざなす」はへたをつけたまま縦に二つ割にして、切り口に大き目の斜め格子状に包丁で切れ目を入れる。裏は安定させるため切れ目と水平になるように丸い部分を少し切っておく。
- スキレットを熱し油を敷いたら、切り込みを入れた面を下にして、軽く焦げ目がつく程度に焼く。る。
- 焦げ目がついたらひっくり返して蓋をし、弱火で10分蒸し焼きにする。
- 火を止め、クルミ味噌を塗り、再度蓋をして余熱でクルミ味噌に熱を加える。
- いりごまを振りかけて完成
【クルミ味噌の作り方】
クルミは炒ってすり鉢で擦っておく。
材料をすべて鍋に入れ、かき混ぜながら弱火で5分程度に煮詰める。
ポイント
ていざなすはアクが少ないので、あく抜きの必要はないが、切ったら色が変わる前に素早く火にかけたい。
出来上がりはとても柔らかいので、取り分ける際はスキレットの中で切り分けた方がいい。木べらなどでも簡単に切れる。
ていざなす…ぜひ一度ご賞味あれ♪
ていざなすは、ていざなすは米なす系の一品種で、色は赤紫色で形は太長。大きい物で30㎝、重さ1㎏以上になるらしい。また、大きいのに種が少ない。果肉は柔らかく甘味が強いのも特徴だ。焼きなすなどに調理されることが多いが、漬物には向かないらしい。
今回使ったスキレットは直径26センチあるが、二つに割ったナスが大きくて並びきらず、泣く泣く一つをさらに半分にしたTT。とにかく大きい。
ていざなすを最初に作り始めた人物がわかっているのも面白い。
1887年(明治20年)ごろ、長野県下伊那郡天龍村南部神原地区の田井澤久吉さんが栽培を始めたらしい。田井澤さんにちなんでつけられていた「たいざわなす」がなまって「ていざなす」と呼ばれるようになったそうだ。
150年、地元の方々が大切に継承してきた「ていざなす」。作る農家も少なく大変希少ではあるが、南信州を訪れた際にはぜひ食べてみていただきたい。
まずは私も、ていざなす定食を食べに平岡駅にいかなくては、と強く思っている。
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